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晴れときどき 宮尾節子


宮尾のブログ talk to who?               
by sechanco
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舟と 韓流

舟と 韓流_a0082132_640894.jpg週にいちどの韓国ドラマを楽しみにしている。「あんなものを・・・」とともだちがばかにするのでタイトルは伏せるが(笑)、その「あんなもの」が終わるたびにああ、あと一週間と思うとその長さにまいり、しばらく虚脱状態になる。「あんなものの、あの眼差し」にまいっているのですが、会えても二次元、おまけにあと一週間という空間と時間の二重のりふじんな責め苦に。どうしてくれる・・・みたいなきぶんになってしまう。やれやれ。困ったもんだ♪

ひとくちでいえば、ありえないがオンパレードのハーレクインである。いいおとこ、いいおんな、いいくらし、やまあり、たにあり、かねあり、なみだあり、てにあせにぎり、おいしいこいがある。いつものパターンの韓流だけれど、ひょっとしたら書き手はマッサージ師かなとおもうほど、ほんとうに韓国ドラマはツボをおさえるのがうまい。情念のツボというか・・・。そして、男性が体でできているなら「女性は心でできている」のが、よおくわかる(笑)。なにがとはいわないが。

その「女ごころのツボ」をおさえることにかけては、右にでるものはいないかもしれない。韓国ドラマは。そのこころのツボをおさえるのは、あのイケメン君たちの眼差しだけでは、しかし足りない。ことばだ。やはり、「こころのツボ」をおさえる「ことばのツボ」をもっている。ことばがとてもすぐれている。ことばの挿し入れかたが非常にうまい。

あまりたしかな記憶ではないが、いつかどこかで聞いたことがある、「詩人が生きられる国が世界に二つだけある。ひとつはアイルランド、もうひとつは韓国だ」と。

そして、しばらく日本で暮らしていて友達になった韓国の女性が「かんこくでは、しょうせつとおなじように、しがよまれるよ。ふつうに、べすとせらーに、ししゅうがはいったりするよ」と言っていてびっくりしたことがある。それにひきかえ・・・

せんじつ、ネットでみた「引かれる男子」とかいう特集のコーナーで、「ポエムなひと」というのがあって「メールでやたら自作のポエムや歌を送り付けてくるひと」・・・と注意事項みたいに書かれていた。気をつけよう(笑)。これが今の日本の若者事情なのでしょうか。かれら(かのじょら)が『イルポスティーヌ』を観たらなんと言うだろう・・・興味深い。

「重い」や「痛い」で秒殺される心理のもろもろ・・・短詩系文学にすぐれ簡潔を美とする日本の、これを進化というか後退なのか、どうなんでしょうね。





それはともかく、せんじつ、おくられてきた『舟』という小さな詩誌に、「韓国の詩」という特集コーナーがあってぱらぱらとめくっていて、がつーんとやられました。すごい、どれもこれも、この表現力はなんだ。この言葉の洗練は・・・盆栽ではない。韓流ブームの源流を見た気がしました。ひょっとしたら、ハーレクインは見せかけかもしれない。

いくつか、みじかく、引いてみる。 すべて、ハン・ソンレさんの訳です。

 神を待っていた
     ユ・アンジン

ヒマラヤに登る道
人里離れた山村の外
がらんとした村の上がり口、がらんとした道の真ん中
子ロバが一頭、独りで立っていた
手綱が縛られずにただ立っていた
登る時も立っていて
下る時に見てもそのまま立っていた
澄んだ目で夢中で立っていた
さらにいっそう下って振り返ってみると
礼服のような裾を翻して白い雲が燃えていた
神を待っていたとは想像もできなかった。

3月 チャ・ハンス

入れ墨をした風が歩いて来ます。時ならぬ大雨で川が溢
れます。胸もいっぱいになって息が切れます。手首も痺
れて目頭が熱くなります。服を脱いだ石たちはいつもの
居場所に座って露を待ちます。靭帯ののびた肩がどきど
きします。唇が薄暗くなります。

 チャ・ハンス

 クィシル村の上がり口に小さな泉が一つある その泉の
水で耳を洗えば耳がよく聞えるようになると言う 耳の
よく聞えない人々が耳を洗う 耳がよく聞えなければ目
も口も よく働かなくなる いくら洗っても洗っても聞え
ない耳 どしゃ降りの雨に降られて夜道を歩く 耳はし
きりに聞えなくなる 暗いクィシル村で再び耳を洗う


金星 ファン・ハクチュ

あなたの方に一日中私を転がす。あなたは私の方に凹ん
でくる。でこぼこでつらい生の間隔がぴったり合う。争った
事のある昨日とはまた別の話だ。

あなたは足を変える。その間に犬のほえる窓の外の宵の
星一つが、本来の場所に置かれる。寝返りを打つ時にも
一方の足は私の足の上にのせて睡眠の上に足を置いてお
く。お腹のすいている方だ。

――後略――

チョコレート キム・ヨンナム

チョコレートには尻尾が多い

そして軟らかい

チョコレートは互いに、という呼吸だ

チョコレートはそわついている時に呼び鈴を鳴らす

チョコレートはある状況で足が早い

チョコレートは何かと関わっている

彼女が昏睡状態だ


いかがだろう。たしかに散文的にわかりやすい詩ではないけれど、心の肌にじかに触れてくる。散文だと理屈を通らねばならないところを、ショートカットして情感の筋に沿ってすっとくるフレーズが多い。詩以外の何ものでもない…世界をきっちりと確立している。詩が確立されている。神々しいような子ロバの立ち姿に、現われた白い神のひるがえる裾が見える。石が服を脱いで露をまつ姿が見える。はげしい雨に、しきりに耳は聞えなくなる。足の間に、犬のほえる窓、の外に、星が一つ、本来の場所に置かれて、光る。尻尾の多いチョコレート、すぐつかまれる、そして軟らかい、そして・・・彼女は昏睡状態だ。

なにがおこっているか。目のないまっ暗がりな胃の中では、どかどかと食べた物たちの質感だけがにぎやかに通りすぎていくだろう――りんごもとんかつも菜食も肉食もそこにふんべつはない。そのおなじものが、情感をも流れていくのではないか。そのような文法では成し得ない「コトバの等価交換が自在になされている」詩の場所がここに確立している。そんな気がする。

物質を素粒子とかのレベルでとらえる次元で、言葉がとらえられてる・・・といえばいいのか、どうなのか。
そういう場所で起きる等価交換性によって、ことばがとても自由になっているのを感じる。理ではない直接に肌で感じる。頭でとらえられないものを、情がとらえてしまうのだ。そこに詩の骨頂があるのだとおもう。

しかし、わたしがいちばん、いいたいのは、これらが「健全なこと」である。「詩が病まなくていい」ことである。昨今の、「はやく病院に行ったほうが、いいよ。」と言ってあげたいような、心の病の臨床例の羅列のような多くの日本の現代詩をみるにつけ、では、そうでないものとは何かのこたえをここ「詩の韓流」に見たような気がする。

心や体が、わかってもらえないから病んだように。読んでもらえない詩は、どんどん病んでいく。しかし病=詩ではないはずです。アウトローイコール病人ではない。ここには、病気に着地していない詩の健やかな姿が見える。健全とはそういう意味だ。ここには「異貌の地」がみえる。それこそが、詩の目指す「ノースポイント」ではないだろうか。。。なにをいってるのかわからんくなってきたわい。

ある日本の若者がわたしに告げた、『自殺は、言いたい』だったはずだと、
ほんとうの姿』は・・・
だから、ほんとは『死にたいは、言いたい』のだと――。
聞く耳はいったいどこにいったのだろう。。。

なにはともあれ、韓国ドラマはクセになります。

あ、タイトルの『舟』は送っていただいた詩誌のなまえです。そのなかで、毎回たのしみにしている「坂本真紀」さんがたいへん興味深い評論を書いていて、そのことについて触れたかったのですが・・・ちからつきました(^^;。――次回に。

「どこかに、わたしのこと全部、好きでいてくれる子がきっといますように」・・・そういう『女の子ものがたり』という映画のセリフを鍵に、「人間の生命」とどうじに生まれたはずの「人間の孤独な精神」について深く語っています。十全に生きるとは何かを・・・彼女の文章にまいかいとても惹かれます。

*写真はともだちの家に、行くとき通るだいすきな小川です。この町は、たくさんの湧き水があちこちで湧き、そこからかわいいきれいな小川がたくさん流れています。たちどまっていつも、ながめてしまう。

長い、相変わらずとりとめのないおしゃべりにおつきあいくださって、
ありがとうございました。m(__)m。
舟と 韓流_a0082132_932895.jpg


by sechanco | 2010-08-29 07:43 | ミヤオ・リターンズ
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