日の丸をつけなさい
宮尾節子
次の答えのどちらかに
丸か
日の丸をつけなさい
わたしは
お国のために
戦いません・戦います
わたしは
お国のために
死にません・死にます
わたしは
私のために
丸を
つけます・つけません
わたしは
君のために
日の丸を
つけます・つけません
わたしは
わたしの頭で
考えます・考えません
じつは、わたし、日の丸という旗も、君が代という歌も、好きなんです。
デザインとして、純粋に歌として、歌の調べとして。
でも、それを、単純に「好き」と言えない
今が かなしいです。
すき、といえない、わけは
きらい、といえない
いやだ、といえない、現状があるからです。
「きらい」と、いえること。
「いやだ」と、いえること。
そのことが、そのことの、自由が守られて。
はじめて
わたしは、こころの思うままに
日の丸や、君が代が、好きと言える。
旗や、歌には、罪がないと思うの。
いつも
人が罪をつくっていると、思うの。
でも、
旗も、歌も、人も、わたしは、好きです。
でも、好きと言えない。
それが、悲しいです。
なぜならば、嫌いということ、嫌いというひとが
嫌だということ、嫌だというひとが
好きという人と同じように──
守られないからです。
守ってください。
好きと思うものを、好きと言える自由を。
守ってください。
嫌いと思うものを、嫌いと言える自由を。
守ってください。
嫌だと思うものを、嫌だと言える自由を。
守ってください。
人のこころを──。
えらい人、つよい人へ。
その反対の者より。