「力強いご支持を、国民の皆さまからいただくことができた!」
鶴を
宮尾節子
「せんそう、はんたい」という
声が出ないので
鶴を折ってもらったのですよ。
言えないひとの
鶴折るひとの
その数は広がって
「もう十万羽を、超えました」
「わたしも、言えなさからでした」
詩を、書き始めたきっかけは──
そんな話が繋がりました。
「こくみんのみなさまに、しじをうけて」
声は出ないが、支持はしてない。
鶴を折る。
声は出ないが、支持はしてない。
詩を書く。
「息をしてるだけで、誰かを傷つけてる」
こわさが、あって。
うつむいて、だまって
鶴を折る。
うつむいて、だまって
詩を書く。
空高く、声の鳩を飛ばせない
声は出ないが、支持はしてない。
わたしたちは、わたしたちの手は
平和を、願って
鶴を折る。
鶴を、折って
鶴と書く。
*『現代詩100年/tolta発行/2015』
からまつは さびしかりけり
の
大詩人 最後の作品に
おなじ
詩を書く 末端人として
わが身を 震わせて おります
いのちも うたも
総動員する
非常時(異常時)の
われらが うたの
その(無残な姿の…)
おそろしさに――
作:北原白秋