人気ブログランキング | 話題のタグを見る

晴れときどき 宮尾節子


宮尾のブログ talk to who?               
by sechanco
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
★新刊のお知らせ★
◎<新刊詩集のご案内>

☆『宮尾節子アンソロジー 明日戦争がはじまる』(集英社インターナショナル)

☆『明日戦争がはじまる』(思潮社オンデマンド)



◎『恋文病』¥1800+税
『読んだ人をちょっと大丈夫にしてくれる魔法がありました』──詩集の感想(Uさんより)
→☆ご注文はこちらクリック!から☆

★電話やFAXでの注文もできます。
・精巧堂印刷所
・電話 0187-62-2340
・FAX 0187-63-1583
☆宮尾の詩集は秋田買い♪よろしく!

☆花のように(動画)
☆アルハルクラすべてを
──*詩集より朗読。


★旧刊についてのお問い合わせはこちらに★

★既刊詩集
☆ドストエフスキーの青空¥1800

☆かぐや姫の開封(残部僅少)
↑¥2800
☆くじらの日(完売)

*詩集は、詩集名を記入して★こちらへご注文くださいませ。★

★メールはこちら→sechancono☆gmail.com(☆を@に変えてくださいませ。)
★な
ライフログ
ブログパーツ
カテゴリ
以前の記事
2024年 03月
2023年 12月
2023年 10月
2023年 09月
2023年 08月
2023年 07月
2023年 06月
2023年 03月
2023年 02月
2023年 01月
2022年 12月
2022年 11月
2022年 10月
2022年 09月
2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 01月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 09月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
最新のコメント
Nariさん あり..
by sechanco at 04:38
inoriさま 詩..
by sechanco at 04:37
初めまして、こんにちは。..
by inori-ori at 15:17
naokoさま。 ..
by sechanco at 20:29
はじめまして。詩に心を動..
by Mousy at 16:09
ありがとうございます!う..
by sechanco at 10:40
今まではただ通り過ぎるだ..
by 風の里農場 at 21:41
おはようございます。はい..
by sechanco at 07:52
おはようございます。まち..
by 風の里農場 at 07:12
ひらがなで書いて、気がつ..
by sechanco at 10:33
フォロー中のブログ
検索
タグ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

静かな顔と犬の顔とココナツ頭と

静かな顔と犬の顔とココナツ頭と_a0082132_11364095.jpg静かに根強くファン層を広げている、『北川浩二』さんの新詩集『静かな顔』がポエトリー・ジャパンの企画で先日発行された。

「静かな顔
          北川浩二     

ひとりで暮らすとしたら
もしもひとりで生きるとしたら
ただそういうことになったんだと思って
静かな顔をしたい

その静かな顔が
生涯続けば
それで静かな人生の完成   」
                 (『静かな顔』抜粋)

わたしは20代の後半に、結婚を含め人生の前半を終了した思いで、東京に出た。そして、新宿の雑踏とゆうぐれの空にひしめくネオンライトと看板の文字の群れを目の当たりにして、現代詩の何たるかを了解した。わたしなりに。看板の群れ。ああ、これだと思った。現代詩は都市の姿なのだと。わたしの生まれた場所では、春から秋にかわるにはたくさんの時間を要する。葉の色が青から赤に変わるにはたくさんの月日をつかう。移動のための電車(汽車だったが…)だって、一時間に一本あるかないか。つまり、そこにはたくさんの待ち時間があった。というかほとんどが待ち時間な暮らしだ。

しかし、ここには(都市には)「春」のつぎに「夏」がありそのとなりに「雪」が降っている。看板の話だが(笑)…。これらの歌舞伎町のネオンサインをいっぺんに見ている感じと、いわゆる先端的な現代詩の言葉の列をながめた感じがそっくりなのだ。体感として。2分おきにやってくるメトロに、あのなつかしく長い心の待ち時間はない。ここには時間の奥行きがない。面だけがある。時間がない平面に、物たちがひしめいている。春の果実も秋の果実も同じフロアで。では、時間は何に変わったのか。濃度だとおもう。

柿もりんごも長い時間をかけて、実る。長い時間の果てのさきっぽに実がつく。それが自然の時間だ。しかし、都市の時間には実だけがある。その実を手にしてわたしたちは失った時間を思い出さなければならない、圧縮された時を解凍しなければならないのだ。都市の実とは、なにか。正規な時を経てないヴァーチャルな果実だ。ヴァーチャルな果実(実)とは何か。記号だとおもう。都市に生きるとは記号を読みとって生きることだと。このおびただしいネオンサインを読みとって自分の欲望をあてはめなければならない。それが都会で暮らすのに必要なことだ。――そしてわたしが何を言いたいか。都市の詩である、現代詩もまた濃度をあげすぎた結果、記号になってしまったこと。歌舞伎町の看板と同じ、記号の羅列に。そして都市が都会が光り輝くあこがれの場所であるうちは、人々は競ってコンパクトな記号たちを星座のように読み解こうとするだろうが、そろそろうんざりし始めたのではないか。――みずみずしいフルーツが欲しくなったのではないか。かぶりつくとたっぷりと甘い果汁のほとばしる、本物の果実が。記号に渇いた、詩の喉は・・・。

だって、ポエジーとは果実のことではなく、その熟れた果実から甘く・酸っぱく・ときにほろ苦くあふれ出すジュースのこと…果汁のことではなかっただろうか。いくつ果実を出荷するかではなくどれだけ一個の詩がジューシーであるか。。。では。

そのポエジーの、詩の故郷、「アルハルクラ」をエミリーのように思い出したい。
そういう仕事を地味に地味にコツコツと続けている詩人たちが見えない場所にいる。
地方でひっそりと詩を書き続けるこの『静かな顔』の男もそのひとりだ。そして、その男を
ささえる男がいるからこのちっぽけな詩集はできあがったのだ。

正直いってあまりにも目立たない仕上がりの本だ。売れる装丁ではない。おまけにこの値段では、見た目でパスされるだろう。内容に見合った、もう少し立派な詩集に仕上げて欲しかった。そういう不満はある。小さな出版社の企画出版詩集では限界があるのだろうが・・・。また、自分の書いたものを届けたければ、そういう本作り面でも著者自身の努力や協力ももう少し働くべきではないかとも思った。「ジバラ切りますから、表紙や装丁かっこ良くしてください」ぐらいは、人として言えるだろう。じぶんの愛する娘を嫁に出すようなものだもの…でも、たぶん著者本人もこの装丁のように目立たないでひっそりと暮らしている人であるとは思う。そういう意味ではぴったりと人となりを表しているかも(笑)。

「物言わぬ夢
            北川浩二


物静かで
おとなしく
ただまじめであることが
できるのならぼくにはそれが一番いいと思えた
毎日
思えば思うほどぼくはそれにあこがれる
それ以外のものになりたいとは
思えない

まじめで
おとなしくて
おもしろみがなくて
目を閉じると
いつのまにか眠っている――」

そして、たぶん女性には「ぢれったい人ね」と言われ(フラレ?)続けてきた男の、
たぶん最高の詩集だと思う。ここには都市の詩が忘れた静かな「アルハルクラ」がある。
あのなつかしく退屈な「待ち時間」がある。おまけに、嫉妬したくなるほど誰にでも(詩が嫌いなひとにまでも!)読める詩である。詩をマトモなひとのもとに戻すのは彼のような人の詩事がひつようなのだろう。そんなに部数も出てないはず、買わないと一生の損。見た目じゃない、詩は中身だ。中身で買いましょう。ほら、こんなにも普通に詩が居る・・・ちょっと愛が足りないけれどワタシニハ?(笑)

「冷たさ

        北川浩二

冷たくされたら
とても悲しい
とても耐えられない
もしも冷たくされたら
これから
何を頼りにして
生きていけばいいというのか
冷たくされたら
とても生きてはいけない
心をあたためることはできない
きみよ
いかなる時もひとに冷たくしてはいけない」


*冷たくしないで、買ってあげてほしい。問い合わせ:ポエトリー・ジャパンできたばっかりです♪お金さえ出せば、立派な装丁の本なんかいくらでも出せる詩の渡世。**も**もないPJが歯をくいしばって出したこの、地味な詩集を心から応援したい。人として。

*あら、いっぱい書いたこと。さいきんこんなあたまんなかやよ。やれやれ。南の島以降あたまは常夏(ココナツ?)でクーラー故障中。暑いのにすいませんね。(^^;
お暑い中、最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

by sechanco | 2008-08-04 12:05 | ミヤオ・リターンズ
<< しり餅と生活 off >>