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むかし、むかし。あるところに川がありました。川にはたくさん魚がいました。こどもたちはその魚をとりたがった。でも、こどもたちが寄っていくと魚はぱっと逃げていって、つかまりません。
ある日、そこへ王子様がやってきました。するとどうしたことでしょう。魚が集まってくるのです。王子様のもとへ。こどもたちは喜んでかけつけました。すると、魚たちはまたぱっと逃げていくのです。
また次の日も、王子様がやってきました。するとまたしても、王子様の足もとに魚たちは群がってくるのです。魚をとろうと、こどもたちが急いで王子様のもとにかけつけるとまたしても、魚は逃げていなくなるのです。こんな日々が続いて。
ある時、こどものひとりが王子様にたずねました。「ぼくたちには逃げる魚が、王子様にはどうしてこんなに寄ってくるの?」川面をながめていた、王子様は静かにこどもの方を向いて答えました。
「それはね、ぼくがつかまえようとしてないからだよ。魚を」と――。
むかし、むかし。ある晩のこと。「眠れないから、何か話をしてくれないかな」と頼むと「では」といってある人が話してくれたおはなしです。この彼の作り話を聞き終えたとき、どうして彼に惹かれるのか……という謎までが解き明かされていました。わたしやみんなが…^^。
冷たい雨が降っている朝です。いつも読んでくださってありがとうございます。どうぞ、よい週末を。
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